ビジネス徒然草-5

自分自身が歩み来た道を振り返りながら・・・。

私がマーケティングという言葉を知ったのは、大学2年生の折。今は亡き恩師、慶応義塾大学名誉教授・村田昭治先生の入ゼミ説明講義を拝聴した折であった。
主要企業の販売しているビールを持って来られて教壇に並べ、「ここにある商品の違いはどこにあると思うか?」と学生たちに問題を投げかけられた。自分も含めて学生たちは皆、キョトンと先生の投げかけられたテーマを聴いていたように記憶している。
その後何人かの学生とのやり取りを経て先生は、各商品の持つ特徴的な強みや広告展開、差別的競争優位性のお話をされたことを思い出す。

無事に村田先生のゼミに入れたが、まずはゼミ生の多さにも驚いた。同期生が47名。これでゼミが成り立つのかとも思ったが、先生の言われた「多数精鋭主義」という言葉に乗って、大いに遊び、悩み、語り合うことができた。おかげで、卒業以来50年を超えた今も同期会を開催し、多い時には20名ほどが集まる会が継続している(この2年はコロナ化もあり休会)。

そこでの学びは、他者との会話を通じてもそうだが、自分の考えたこと思ったことが、すべて正解ではないということ。マーケティングの正解は、一つには市場における取引の成果として表されることもあるだろうが、必ずしもそれは「売上」「利益」といった経済的な尺度に限ったものではなく、「イメージ」や「評判」なども評価尺度になり得るということ。マーケティングは、一つ(と想定した)解を求めるのではなく、多様な解を相互に尊重しながら、未来に向けた仮説を設計することと理解した時である。

今思えばそれは、昨今キーワードのように言われるダイバーシティ(Diversity)を体感する機会だったように思える。何よりも、村田昭治先生からは、「習う」ことを超えて「学ぶ」こと。そこに考える楽しさが生まれるということを深く知る機会を頂戴したことに、今も深く感謝している。

「習う」ことは一極一方行になりがちだが、
「学ぶ」ことは多極・多方向型である。

        Management Partner Staff
                清野裕司

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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