旬刊独白-10

第10話:顧客が驚くことを提供しよう

日々繰り返される暮らしの時が積み重なって、自分の人生時間としてさまざまな事実が刻み込まれていきます。何事も無いという日は、実はないのですが、これといった驚きや未知との遭遇でもない限りは、やはり平凡に時は流れるのかと無意識の内に予定をこなすことが多いような気がします。そうした日常の繰り返しの中でも、ちょっとした喜びには出逢えるもの。その人なりの感性の濃淡が、事にあたっての驚きの様子を変えているのかもしれません。それは、今まで何ごともなく通り過ぎていた景色や情景のちょっとした違いに対するものなのです。

同じことが、同じように繰り返されるだけでは、人は特段の驚きすら感じなくなってしまうもの。慣れてしまうと、価値も逓減してしまいます。驚きを感じるというのは、実はちょっとした変化に対するものです。しかし、そのちょっとしたことが、なかなか思い浮かばず、実行にも移されないことがあります。

仕事柄、新幹線を利用して移動することが多くあります。その都度無感動なアナウンスに出会います。関西からの帰路、ほぼ決まって小田原近辺で「只今、この新幹線は時間通りに小田原駅を通過致しました」と誇らしげに告げるもの。乗客にしてみれば、時間通りというのは当然のことであって、その保証の元に新幹線に乗車をしているのです。いまさらのことを聞かされても、感動はありません。それよりも、小田原を通過した途端に、名物の蒲鉾を売りにこられた方が、驚きの感動を覚えるのではないかと思います(今までに体験したことはありませんが)。

マーケティングを実践する人には、顧客が驚きを覚える手段や仕組みは何かを、常に自問自答することが望まれているのです。

清野裕司

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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