旬刊独白-12

第12話:地域の風土を感じさせるのが「地域ブランド」です

ご当地商品、産直商品、産地ブランド・・・地域を売りものにしたモノやサービスが沢山あります。出張の都度、その土地の生活を少しでも覗こうと思いコンビニエンスストアに立ち寄ります。そして、がっかりしてしまいます。東京で日常触れている商品、いつも飲んでいる飲料、間食用のスナックと、どれも見慣れたものばかりが並んでいます。ある地に来ているとの想いが、一気に冷めてしまいます。オフィス近くのコンビニエンスストアを覗いた時と同じ自分に出会ってしまうからです。「地域モノ」とは「地域の文化」を色濃く出しているのではなく「地域」を中央の消費地で売るための記号でしかないのでしょうか。

エリア・マーケティングという考え方があります。限定された地域の風土・文化に合わせ、そのエリア内の生活環境にマッチしたモノ・サービスの提供によって、地域を基軸とした経営の効率・効果を高めようとする行動です。そこには、地域の香りがあります。そこに住む人の顔が見えます。薄っぺらな言葉ではない、かの地に根ざした歴史と、えも言えぬ重みがあるもの。「地域」とは文化そのものではないでしょうか。エリア・マーケティングは、まさに生活文化を活かした経営を実践することと理解できます。

昨今の「ご当地」「産地」モノには、どうやらそのような文化性が乏しいように感じます。上辺の記号としての「地名」とその地名から連想される一片のイメージを記号に置き換えて、商品やサービスの開発にあてているように感じてしまいます。売るための手段としてみれば、決して否定すべきものではないでしょうが、正しく「地域文化」を知らせ、共感者を募って欲しいもの。「地域を」売りものにするのではない「地域が」発信するマーケティングを実感できることを期待しています。

清野 裕司
株式会社マップス

投稿者:

maps-staff

一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

PAGE TOP