旬刊独白-14

第14話:「理論」は自分の説明力(論理)を見直す鏡です。

マーケティングが日本のビジネス界に紹介されてほぼ60年。その間にさまざまな「理論」が語られ、マーケティング・ビジネスの道標となってきました。消費者の購買行動を説明するモデル、企業の多角化を導くモデル、事業構造の単位を見直す方法論、製品開発の一般プロセス・・・・枚挙にいとまのない理論が紹介され、かつビジネス現場で検証・活用されてきています。

「理論」とは、『どの分野においても説明のできる“理屈”』と解釈できます。それだけに普遍性を持ち、意味がわかったつもりになるケースが多いものです。しかし、いかに多くの理論を知っても、多様なビジネスの現場にそのまま当てはまる訳ではないでしょう。個別的な意味転換・解釈が必要です。基本的な考え方は同質であったとしても、実行過程は企業の性格や対象商品・サービスによって多種多様だからです。

理論を読み解いて、自らのものに置きかえる思考過程が必要です。「理論」の文字を逆転させる発想。「論理」の必要性です。「論理」とは、『自らの考えを説明する道筋』のこと。ある現象を自分なりにどのように解釈したのか。その理由付けを、他者が聞いてわかるように説明する力のことです。

同じ現象にも、人によってさまざまな解釈があるでしょう。その一つひとつが理にかなっているのかどうかを見極めること。その際の判断尺度が「理論」なのです。「理論」は覚えるためにあるのではありません。個々の「論理」を補強し、確認するためにあるのです。

マーケティング・スタッフに求められる資質は、「理論」を多く習うことで高まるのではなく、自らの思考回路を筋道たてて説明できる「論理」を学ぶ姿勢を持つことにより深まるのです。理論的知識を持つことよりも、論理力を持ったスタッフ能力が求められています。

清野 裕司

株式会社マップス
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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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