第15話:「知識」は必要ですが、それ以上に「意識」が重要。
何かを成し遂げようとした時、人は不安に駆られることがあります。今のままで良いのか、他にもっと良いやり方があるのではないか・・・。確認する術を持たず、今までに自分が知り得たことを基本に、もう一度筋道立てて、自分のやろうとしていることを説明しようとします。そこに働く力としては、ある時は累積された個人的な知識がものを言うことがあります。
しかし一方で、知識だけでは解決できないことがあります。蓄積してきた知識では、今起きている現象を説明することが出来ず、また暗闇の中に入り込んでしまうこと、あの時に、もっと学んでおけば良かったと反省すること時です。そのような時に大いに発揮されるのが、本人の意識です。過去は問題ではなく、今起きている現実にどのように対処しようとするのかの、自分自身の意欲や対応の姿勢を問われているのだと、はっと気づきます。すると、それまでに思いもつかなかった方法が浮かんでくることがあります。誰かに習った方法ではなく、自分自身が編み出した道筋の発見です。
理屈だけでは解決できないことが多く登場してくるのが、マーケティングの現場です。このような施策を展開すれば、顧客は間違いなく動いてくれるはずだと思うのですが、その通りの結果が生まれてこない。予期せぬことだらけ。そのような時には、過去に学んだことの、何とも脆弱なことかを思い知らされるものです。
単なる表層的な「知っている事実」よりも、心底思い込んだ「まだ見ぬ未来」を実現しようとする意識が、どれ程の力になるかを知るときです。マーケティングが、「学」として存在するのではなく「論」として存在するのも、そこに意味があります。マーケティングは、自分自身が実行する「未来への道案内」なのです。
清野 裕司
株式会社マップス
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