第17話:「データベース」はお客様が持っていることを忘れずに。
データベース・マーケティングという言葉は、IT革命が言われだしてより、よく耳にするようになりました。というよりも、1980年代初頭に注目されたOA革命、更には60年代後半から言われたMIS革命においても、データベースとはよく聞かされた言葉です。
その原義は「各種のデータを磁気ディスクなどに体系的にかつ重複のない状態で記憶させ、必要なときに知りたい情報を取り出せるようにしたもの。略語DB」(学研カタカナ新語辞典)とあります。使いたいとき、知りたいときの主体者は誰でしょうか。情報を検索するその人です。一般的には、企業人が想定されます。
確かにマーケティングを企業の市場に対する活動体系と捉えれば、その解釈も正しいでしょう。しかし一方で、今問われているマーケティングの発想原点は、顧客との密接なる関係づくりにあります。リレーションシップ・マーケティングを素直に解釈すれば、「関係・関連づくりの志を持った企業行動」と訳すことも出来ます。ただし、関係はひとりではつくることが出来ません。相手があって始めて繋がりが生まれます。
としたならば、データベースも一方的に企業サイドがコントロールするための手段と考えるのは、一面的な解釈に過ぎなくなります。相互的なものなのです。顧客サイドにも明快なデータベースが存在しています。過去の購買における体験や、消費時における経験が、顧客サイドがもっているデータベースなのです。顧客の頭の中を覗かなければ、真に望まれる情報や商品を提供することは出来ないのです。データベースとは、顧客(生活者)の頭(心)にあるファイルのことであり、送り手である企業が独断で収集した情報のファイルだけではないことを、肝に銘じなければなりません。