「話題」を広げる「話材」の裾野は広げておくこと。
朝のビジネスモードへの入口が、PCを開いてメールを読むシーンが当たり前になってきました。電話が主流の時代では、相手の就業時間後は連絡が取れず、朝一番での連絡が当たり前でした。しかし今は、夜中の時間であっても、とりあえず連絡文だけは送っておこうとするマインドが働くようです。送信された時間を見ると、このような時間まで仕事をしていたのかと、ため息が出そうな時間のメールもあります。そして、朝から「どうでもe-mail」の山。削除するのも手間な「どうでもいい」モノばかりです。メールに眼をやった後は、少しの時間新聞に眼をやります。ネットでも情報は入ってきますが、「受信」と言うくらい「受身」の感が強いもの。能動的に情報を獲得するマインドで新聞を読みます。まさに「見る」のではなく「読む」行為です。幾つか気になるテーマにぶつかる。そこで得たちょっとした記事が、今日の「話材」です。コラム的な囲み記事に書かれていた、新しい街のこと、店のこと、人のこと。どのひとつをとってみても、他人と会話をする際の材料になります。
仕事の上でのコミュニケーションには、「主題」に絡むさまざまな話が出てきます。何を語り合うかの基本的な題材は「話題」。その主題を語り合うだけでは、お互いの理解が進まないときがあります。コミュニケーションの場では、世の動き、人の動きなどを糧にして、話自体が円滑に進むときがあります。雑談に聞こえてくることが、ミーティングに参加をしているメンバーの相互理解を進めるものです。情報発信者の独りよがりの話では、同席するメンバーからの共感は期待できません。
「話材」を集めるには、受信のモードだけでは不十分です。積極的に情報源に働きかけることが必要です。新たに市場に投入した商品も、多くの人の「話材」になることを考えることが必要です。そこにマーケティングを展開する意味がありそうだ、と私は考えています。
特に最近のマーケティング・スタッフの話材の狭さ、少なさは目を覆いたくなります。ほとんど、自分の身の回り1mの範囲で起きたことにしか興味がないように感じることがあります。現象を説明するために、また他の現象を見る。そのようなことをするのが面倒だと思う人は、早く、マーケティングの世界から身を引いた方が良いと確信的に思います。
清野 裕司
株式会社マップス