旬刊独白-23

現代は「情報交換」に限らず「情動交感」の時代です。

 動画も含めて、ビジュアル情報のやり取りが出来るスマホやケイタイを使う風景が当たり前になりました。自分の気持ちを伝える際に、全てを文字で表現するのは小説家であっても至難のことでしょう。しかし、今の自分の顔を見せれば、ある程度のことは読み取ってもらえることがあるもの。「目は口ほどにものを言い」ではありませんが、その瞬間の自分の気分は顔に出るものです。であるならば、感情のやり取りには画像の方がリアリティがあります。「情報交換」の時代ではなく、「情動交感」の時代と見ることが出来ます。
この時代に適応するマーケティングでは、今までのモードを改めて見直さなければならなくなります。そのために多くのキーワードやコンセプトが発信されています。Webマーケティングやeマーケティングといった言葉は当たり前になりました。しかしそこでの論点は、主に顧客への「接近」を中心としており、情動の「読み込み」に関するものではないように思えます。
かつてITがもてはやされ、ITを知らざる者は時代のビジネスを展開する資格すらないように言われました。しかし、これもInformation(情報)のTechnology(技術)であって、情報加工の技術が中心に語られ、言葉を変えればInformation Toolと読むことが出来ます。
今問われているのは、情報を細密に加工・分析する術ではないのです。その事実から読み取れる背景や、あるいは顧客が発信している言葉の裏にある情景までを、具体的に描き出す力です。他人の話を文章で表現する能力を持っていると、高く能力評価をされるケースもあります。「情報交換型」のスキルに関して多くのマーケティング・モデルが紹介され発信されてきました。
これからは「情動交感型」のマーケティング・モデルの開発が待たれます。

清野 裕司
株式会社マップス

 

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maps-staff

一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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