旬刊独白ー28

「なり・ふり」をわきまえることもマーケティング表現です。

初めて出会った人と会話をするとき、人は相手の何を見てその人となりを見極めていくでしょうか。お互いが知り合うと会話も弾みますが、知らぬ者同士だと、いらぬ気遣いをして会話が終わってから何とは無しの疲労感が残ったりするものです。
ビジネスの慣行として、先ずは名刺交換をしながらお互いの名前と所属を語り合う。自分の担当している職務内容を、かいつまんで説明する。今までのキャリアをとうとうと述べる人もいます。聞いていて疲れてしまいます。そんな時、相手の「なり」を見ることがあります。高価そうなスーツを着込んでいるとか、いかにも不釣合いなネクタイをしている・・・といった見方ではありません。「なり」とは「形」であり「態」です。その人の外観が醸しだしている雰囲気とも理解できます。カタチを見ていると、その人の背景までが読み取れるものです。例え元気そうな顔をしていても、その場に不釣合いな「なり」をしていると、却ってしらけてしまいます。顔は笑っていても、その「なり」からは本心とは思えないといったこともあります。
あわせて、人は相手の「ふり」も見るもの。どのような振る舞いをするかの、細やかな目線が働きます。「ふり」は「振り」であり「風」です。その時々の対応の姿勢とも解釈できます。たとえ身なりは良くとも、その場の雰囲気にそぐわない態度や行動は、その人の今まで歩んできたキャリアさえ想像させてしまうものです。
その場で、いかに自分があるべきかを考えられない人は、それこそ「なりふり構わず」勝手な行動をとってしまうことになってしまいます。
現在のマーケティングは、モノの交換を論ずるだけではなく、人と人、企業と人との関係を論ずるようになってきました。今まで以上に、その場に適合した「なり」と「ふり」が、企業にも個人にも問われる時代なのです。

Management Partner Staff
清野 裕司

 

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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