旬刊独白ー29

マーケティングは「とらわれない」思考を求めています。

マーケティングを学び始めて比較的早く出会う言葉に、Segmentation/Targeting/Positioningがあります。
その頭文字から「STP」のフレームと言われます。顧客を細かく分け、自らが取り込みたい顧客を決め、競争上の差別性を明確にする。差別的な優位性を獲得することが何よりもマーケティングにおいて重要なことだと先ずは考えること、と教えられます。
しかし、その基本の考え方に余りとらわれすぎてしまうと厄介です。どのようなテーマに対しても同じような発想しかしなくなってしまうからです。製品やサービス開発において、先ずは細分化。性・年齢・職業で分けるということから全てが始まると考えてしまうのです。何となくマーケティング的に考え、実行している気分に陥る時かもしれません。
何も、全てを「S・T・P」の手順で捉えなければならないという規定はありません。過去の分析アプローチにとらわれすぎているに過ぎないのです。
同じようなことは、日常の生活にも多く見られる。「これは、こうあらねばならない」と規定したとらわれの考え方です。「パンを食べるのは朝食が適しており、夕食にパンを食べるのは不自然だ」などと言う人に出会うことがあります。何故でしょうか?決してそのようなルールがあるわけではありません。夕食の食卓で「シチュー」や「カレー」と共にパンを食べると案外美味しいもの。朝食はパン/夕食は米飯とは、決められたことではなく、何となくそう思い込んでいるからに過ぎません。
「とらわれる」を漢字で書くと「囚われる」となります。人がある枠組みの中に囲い込まれています。自分の身の回りに、「こうあらねばならない」と囚われの発想に陥っているものはないでしょうか。マーケティング思考では、囚われを打ち破る熱い力を、私はいつも期待しています。

Management Partner Staff
清野 裕司

 

投稿者:

maps-staff

一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

PAGE TOP