旬刊独白‐32

「未知」を「無知」とせずに気づかせることもマーケティングです。

「おバカキャラ」という言葉を時に耳にすることがあります。雑学という名の常識を問うテレビ番組で、「知らない」ことをはやし立てるような場面に遭遇することもあります。知らないままにやり過ごしてしまう、そんな社会の風潮が気になります。
マーケティングは、その存在自体を知らない人々や、存在は知っていても使い方や効率性を承知していない人々に、より良い方法や考え方を提示・導く役割も持っています。少なくとも、商品やサービスを説明する立場にある者は、その内容を勿論知らなければ話になりません。この商品はどのような場面で使うことが良いのか、このサービスはどのような状況の際に利用すればよいのか。答えは、使用者・利用者の学習によって高まってはいきますが、その前提として、提供者サイドが何か仮説をもっていなければ議論は始まらないですし、「どうぞご勝手に・・・」では、利用者側は何をどうすればよいのかすらわからぬままに終わってしまいます。
「知らない」「聞いていない」の「未知」のままで済ませてしまうのではなく、知ろうとする行動を起こすきっかけを提供するのも、マーケティングの大きな役割のひとつです。広告“Advertising”は、広く知らせることに意味があるのではなく、その原義(元の意味)は、「気づいて振り返させる」ことを言います。闇雲に商品名や企業名を連呼することだけが広告ではないのです。はっと気づかせ、受けた本人が学習するきっかけを与えるものです。
「未知」を「無知」と言って片付けてしまったのでは、未来に向けた道も未知のままで終わってしまわないかと、気になってしまいます。

Management Partner Staff
清野裕司

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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