オフィスMAPS40年の軌跡は奇跡の時に思える。:②中目黒篇
創業して10年。まだまだ不安定さは否めないものの、出入りする学生スタッフの数も増え、渋谷のオフィスでは作業空間自体が狭くなってきてしまった。併せて、お付き合いをさせて頂く企業も徐々にではあるが増えてきた。このままの場所で、定例的な作業を繰り返すことでオフィスを維持するのか、あるいは、さらなる高みを目指して、若きスタッフと共に次代のマーケティング・スタッフ集団をつくるべきか。答えは後者にしかない。プロジェクト・ミーティングの移動で地下鉄日比谷線の利用頻度が最も高かった。そして、街自体が新たな時代に向けて開発を進めつつあったことを決断の背景として、オフィスを中目黒のクリスタルビル7Fにすることに決めた。まだ工事中のビルであったので、フロア階は自由に選択できた。広さは約80㎡だ。スタッフは、私を含めて7名。それに学生スタッフを加えると、ほぼ毎日10名ほどでスタッフワークを続けていた。
ここでも、実に多様なプロジェクトに参画する機会を頂戴してきた。今なお現役の商品として、小売店の店頭に並ぶものも多い。パッケージのデザインは多少変えているものもあるが、店頭に並んでいるそれら商品を眺めては往時を思い起こすことがある。また、1990年代の最後半にあたり、それまで量的な面でとらえられていたことを、量ではなく、より細やかにその内実まで捉えようとする市場の質を見直す調査も多くなってきた。想定ターゲットを集めての座談会形式、所謂グループインタビューが注目されていた頃である。その司会役(モデレーター)を年間100回以上は担当させて頂いたであろう。利用者や購入者、非利用者や非購入者の声を直接聞ける。それだけ自分自身のマーケティング感度も研ぎ澄まされ、リアルな生活者感覚が身についてきたように思える。
勿論、調査だけをやっていたわけではない。調査結果を読み解いて、新たな商品が参入すべき市場を考えることが多かった。マーケティングの教科書に書かれていた多くのモデルを実践する時代でもあった。
株式会社マップス40年の基礎体力をつけた時代だったようにも思える。
Management Partner Staf
清野 裕司