オフィスMAPS40年の軌跡は奇跡の時に思える。:④麹町篇
半蔵門のオフィスに移ってからは、それまでにない多くのプロジェクトに参画をし、このまま更なる企業規模の拡張も考えられる、といった未来を幅広に捉える思考が私の胸に広がっていた。
業容の広がりは、それだけスタッフも増え、管理費や人件費の拡張が想定される。会社を経営するということは、とどまることのない業務を社に持ち込んで、扱い高を増やし、個々人の成長を支えるのが大きな仕事なのかとも思った。休まるという時間が乏しくなるものだということを実感して、土曜日は当然のように執務の日になっていた。
しかし、2007年~08年のリーマンショックによる企業行動の停滞感もあり、直接の影響ということではないものの、それまで当たり前に行われていたプロジェクトの突然の中止や延期が相次いだ。それでも変わらぬ志でスタッフ8名は皆元気に動き回っていてくれた。その間に私は、ビジネス塾の構想も広げて、併せて出版用の原稿も積極的に書き綴っていた。しかし状況は好転しなかった。
社員スタッフ全員とのミーティングを何度も何度も繰り返した。私は「雇用は維持する。会社をたたむことはしない。しかし、今までと同じような経済状況を維持することは、ここ数カ月難しくなりそうだ。どう判断するかは、一人ひとりの意志に委ねる」と伝えた。何人かのスタッフは自分自身の居場所を変えていった。その折に、昨年急逝してしまった私のアシスタントから「自分が持っているお金は、すべてMAPSから頂戴したもの。会社が苦しんでいるのですから、このお金を使って下さい」との申し出があった。返答することもできず、ただたたずんでいる自分がいた。そして決心した。「少し小ぶりなオフィスに移転して、経営効率を高めよう」と、麹町のオフィスへと移転を決めた。

半蔵門も住所としては麹町1丁目。それが4丁目に移る。「麹町」にこだわったのは、地方に出向いても、皇居近くということもあるのか知名度が高く、イメージも高質だったからである。4カ所目のオフィスである。
新たな気をもって、1月11日と1並びの日に引っ越しをした。外部に書庫となるスペースも借りてはいたが、やはり1万冊余の書籍をそのまま引っ越すことは難しかった。引っ越し前には「100円市」や「重縁市(10円)」と銘打って、多くの方々に買って頂き、数千冊は処分をし、何とか半分にして移転。書籍はもちろんだが、それ以上に、それまでの約3,000件近いプロジェクト実績で積み重ねた資料や企画がある。できるだけストックをし、これからのアーカイブスにしていった。
その年の年始の想いは「新起業:Marketing Consultant With Archives」である。
プロジェクトのタイプは、多くの知を集めて実行するものに変わりはないが、学習するスタイルのものが増えていった。新たな時代への準備である。
株式会社マップスも、変わることなく学習を続けて今に至る麹町オフィスであった。
Management Partner Staff
清野 裕司