旬刊独白‐39

「つもり」が積み重なると「知層」がまだらになってしまいます。

季節を問わず暑い日には、ふと北国の冬に想いをはせることがあります。雪は積もると、美しい真っ白な世界を描き、まさに「白銀」を実感できるのですが、厄介なのが、マーケティング・スタッフの心に積もる思い違いのひとかけらです。

「わかったつもり」になっている理論や、実行してきたつもりのさまざまな技法。更には、自分自身が全てをやったつもりになっているマーケティング戦略の数々。

そもそもマーケティングの実行は、たった一人で全てが完結するものではなく、多くの人や機能・役割が相互性を持って絡みあいゴールに向かうものです。「あの橋は自分(わし)がつくったんだ」とのたまう政治家の先生の話を聞いたこともありますが、それは「橋をつくるべく計画し予算の調整を指示した」だけであって、つくったのは工事人であり、その材料を提供した企業です。全てをわが手に・・・の「つもり」は何とも質(たち)が悪いと思います。

「つもり」が積み重なると「つもりマーケター」のそしりを受けることになるでしょう。土台がしっかりしていない、裏づけが無い、志が薄い、基が無いのですから、直ぐに倒れてしまいます。砂上の楼閣を地で行くマーケティングです。「つもり」が積もったスタッフもまた質が悪い。流行の言葉に左右される、記号を使いたがる、ちょっと立ち読みした他人の言葉を、さも自分の言葉のように発信する。雪が積もると一面を覆う白銀の美しさです。同じ「つもる」のであれば、実を持ってしっかりとした「知層」を重ねたいもの。「つもり」が積もると「まだら模様」の地層が脳に堆積されそうです。

Management Partner Staff
清野裕司

投稿者:

maps-staff

一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

PAGE TOP