旬刊独白-47

企業を評価する尺度は、「良い」企業から「善い」企業へ。

「会社の寿命:盛者必衰の理」が日本経済新聞社から上梓されたのは1984年8月。「会社の寿命は30年」と、当時センセーショナルな話題を投げかけた。
そして、90年代に入ってからは、地球環境やリ・ストラクチャリング(人減らしではない企業再構築)を主題にした、「環境に良い会社:地球に優しい経営の条件」(91年11月)が、さらに「強い会社:勝ちパターンを描く個性派企業」(94年7月)が上梓され、企業経営に対するさまざまな視点を提供してきた。

書籍のタイトルは、ある面その時代時代の世相や注目テーマを取り上げている。その言葉には、かつてより日本企業を評価してきた尺度が見え隠れしている。基本は「体つき」をベースにしているように思える。つまり、体格(企業の規模)であり、体力(経営の資源)、そして体質(組織の風土)の3視点である。

企業の経営目的を経済的な価値増殖におけば、そのような判断も受け入れられよう。しかし今の社会環境にあって、果たしてそのような定量的な尺度で企業の行動を見ることが良いことなのかという疑問が浮かんでくる。企業を「法人」というように、人格を持った集合体と考えると、人を見るときに、その人の「体つき」だけで判断をするかどうかを問うてみればよい。それだけではなく、その人の「人となり」も知ろうとするのではないか。先述の「体格・体力・体質」に加えて、その企業ならではの「体(てい)」とでも言うべき視点であろうか。

その基本は、「良いか悪いか」といった相対的な尺度から、「真・善・美」のまことを持った「善い」行いとは何かを考え、社会・顧客と共に未来を創造し、価値を生み出す力を評価する時代になっていると捉えるべきではないだろうか。

PDF:企業には顔がある

Management Partner Staff
清野 裕司

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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