曇天を貫こうとする気概で「前へ!」の志をもっているか。
2022年も半分。6月の梅雨の鬱陶しい曇天が続いている。この季節に正月の話をするのはいかにも気の早いことではあるが、イベントの内容ではなく、キャッチフレーズのことである。
関東地区で今も続く正月恒例の大学(箱根)駅伝。まさに新年の風物詩のひとつに数えられるまでになっている。正式には、「東京箱根間往復大学駅伝競走」で、1920年より毎年1月2日と翌3日の2日間にわたり行われる。回を重ねて歴史を語り継ぐイベントに位置づけられている。
そのキャッチフレーズの中で、強く心に残ったものがある。2003年の「前へ前へ。ただただ前へ。信じて前へ。迷わず前へ。」の言葉である。ここ数年、企業人の口から聞こえてこなかったフレーズではないかと思う。
何を信じればよいのか、迷い道に入り込んだかのような、出口のはっきりしない経済環境の中にあって、なおさら萎縮したように行動を起こそうとしない状況。前例がない・・・だから“やらない”では、いつまでたっても迷い道のままではないか。既に、先例となるビジネスモデルは、世界のどこを探しても無いと心得るべき時代である。これからつくりださねばならない。歴史は、誰かが踏み出した一歩から始まるものである。
小さな一歩だが、進み行こうとした強い意志と勇気を感じさせる言葉。次へのバトンを渡す相手が待っている。その一区間に自らの最善を尽くす。引き継がれたバトンが、ひとつのコースを繋ぎ、線となって形を成す。各パート(区間)での成果が全体に影響を及ぼす。そのために選手の能力を見極め、適材適所を図る・・・。経営の組み立て手順にも似たプロセスをもって、駅伝競技は完成する。
マーケティング現場においても、ただ闇雲に前に進むことが正しいわけではない。競争計画を練り、人を配備し、その能力がいかんなく発揮されるよう検証(練習)を続ける。そして、後は実行の一歩を踏み出す。出口が見えない・・・と嘆く前に、小さなことでも良い、何がしかの目標を持って、自らを信じ、仲間を信じて一歩を踏み出すことが必要である。
ビジネスは、ゴールの明示されないマラソン・レースでもある。今を生きるマーケターには、「前へ前へ。ただただ前へ。信じて前へ。迷わず前へ。」の気概を持ち、今世紀の歴史を刻むマーケティング・モデルを繋ぎ始める志が問われている。
Management Partner Staff
清野 裕司