創造性を育むには「ごっこ」の思考が欠かせない。
既に半世紀以上の時が流れた1960年代昭和の話。子どもたちの遊び場は、今も時に「ドラえもん」には登場してくるが、家の近くの原っぱや空き地だった。今の環境からすれば危険極まりないところで、仲間と生み出した遊びに夢中になっていたものである。映画にもなった「三丁目の夕日」に登場してくるような景色は、既にセピア色の郷愁すら誘う時が流れた景色である。
その頃の遊びに、さまざまな「ごっこ」があった。「鬼ごっこ」「電車ごっこ」「怪獣ごっこ」「探偵ごっこ」・・・・。誰かのアイデアが仲間全体の遊びに昇華して、「ごっこ」は擬人的な真似の世界を自分たちの世界に引き込むものである。そのためには、かなり厳格なルールが必要である。これは、リーダー(ガキ大将)が言い出したとしても、メンバーの合意形成がないと成り立つものではない。小さいながら、組織の基本ルールに沿った「ごっこ」の真面目なルールが形成される。そして皆真面目に、それぞれの役割になりきる。なりきらなければ「ごっこ」にはならないからである。
「電車ごっこ」であれば、運転手・車掌役の子は、見てきたこと、聞いてきたことを基本に、出来るだけリアルに演じる。だからこそ、その場の仲間はますますその気になる。
最近、そのような「ごっこ」に出会うことが殆ど無くなてしまったように感じる。リアルに近いモノが既に準備されてしまっている。そうすると、準備された道具をうまく操作することに長けた子どもが増えてくる。操作性は高まるが創造性はどうか。「ごっこ」は想像の世界でのこと。そこでの体験から、自然と「創造する力」を育んでいた。
今、新たなマーケティング・モデルの創出が待たれている。マーケティング・スタッフに「ごっこ」のマインドが必要な時代である。体験をベースにしたシミュレーションを、あるルールの中で真面目にやってみる「ごっこ」をビジネスの中で展開することが、新しい発想を生むきっかけになるかもしれない。
かくいう私は、
40年にわたって「会社ごっこ」をしてきたのかもしれない。
Management Partner Staff
清野 裕司