瞬刊独白60

企業の未来には、ふたつの「はっしん」力が問われる。

日本における企業成立の時期に関する論は、さまざまある。住友家を代表に室町時代の商家の成立にその源流を見ることもあり、また、明治維新時の官業・民業の成り立ちを原点とすることもあるようだ。その後の時の流れの中で今、戦後の経済復興期以来続いてきた多くの日本企業のモデルが、新型コロナウィルスの影響をきっかけとして、社会・経済環境の変革が著しく、基本的な機能不全を起こし、新たな企業のあり方が問われている。

企業は何を目指すのか。どこに向かうのか。その方向が定まらぬままでは、企業自体の存在は不安定になってしまう。また、本来の夢が無いままでは、組織としての活力の動機付けも希薄になってしまう。自らの存在を問い直し、将来の組織の理想を思い浮かべるのは、何もトップだけの仕事ではない。組織構成員一人ひとりの描く未来そのものを、考え描く時代でもある。

一般的に企業の戦略は、外部環境変化に適応すべく、自らの資源の最適配分行動と理解されている。しかし、従来から言われる戦略構造化の論理は得てして、環境変化の読み込みと自社資源の分析に主眼が置かれてきたきらいがある。新時代の戦略デザインには、まず夢想した未来像(ビジョン)への行動計画を描くことが第一であろう。

今、企業に求められるのは、まさに今世紀ビジョンの構想であり、具体的な表現である。将来方向を示唆したビジョンは、経営の意志表明であり、市場との対話の基点となる発言と捉えることができる。しかも、ただ語っただけでは何の変化も始まらない。発信すると共に、動き始めること、「発進」する力が必要になる。

この問いかけは、企業経営に限ることではない。わが国自体に投げかけられていると思っている。自分の在るこの国も、未来に向けた「発信と発進」の力が今、求められているのではないだろうか。

Management Partner Staff
清野裕司

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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