「やさしく」伝えること。それが「むずかしい」。
私の大好きな小説家(劇作家・放送作家)の一人である井上ひさし氏が遺した言葉は数多くあるが、なかでも日常の仕事を通じて、われわれマーケティング・ビジネスに携わる者が心しなければならないのが、次の言葉だと思う。
PDF:井上ひさし氏の言葉
その文脈から、まさに「むずかしいことをやさしく」伝え、かつ諭してくれていると思っている。そのような思考の中、他人に何かを伝えて記憶して貰う場合、3つにまとめて発信すると強く情報が刷り込まれていくように感じる。
旧来よりビジネスの世界でも「現場・現物・現実の3ゲン主義」とか「報連相」の重要性、生活家電「3種の神器」「昭和40年頃の3C:Car/Cooler/ColorTV」と3でまとめられたものが多くある。私も講義・講演の際、記憶にとどめて貰おうと3つにまとめて伝えることがある。
「マーケティングは「視点・視野・視座」の3つの眼が不可欠である」「市場には「交流・交換・交感」の3つの交わりがある」「変化を見る眼には「解析・解釈・解説」が必要である」「人の人生には「生命・運命・使命」の3つの命が働いている」・・・等々。御三家・三羽がらす・日本三景・三筆/三蹟と、日常生活の中にも多く「3」は登場してくる。そう言えば東京タワーの高さは333mであった。
かといって、何でも「3」にまとめることがやさしい伝え方に通じるわけでもない。この2年強、よく耳にする「三密」。さて、その「密」は何であったか、ふと思い出せないこともある(密閉・密集・密接だが)。
大切なことは、繰り返し、かつ表現を変えるなど、やり方も多岐に考える必要があると思っている。
Management Partner Staff
清野裕司