ビジネス徒然草38

終生自らの「芸風」を追い求めていきたい。

長くビジネスの世界に身を置いていると、さまざまなタイプの人間に出逢う。タイプの違いとは、振る舞いの差でもある。年齢の差ではなく、キャリアの差でもなく、その人なりのこだわりの差によるものかもしれない。
決して技術のレベル差だけとは思えない。パソコンのキーボードをブラインドタッチで出来るからといって、その人から先鋭的なマーケティングの話が聞こえてくるわけではない。逆もある。パソコンはおろか、携帯・スマホを持ち歩かないにもかかわらず、ぜひまたあの人のマーケティング・センスに出逢いたいと思わせる人もいる。その差は何か。

マーケティング能力には、市場の動きなどに関する調査結果をいかに読み取るかの、操作的な技術が必要な場合がある。あるときは統計学的なアプローチであり、あるときは社会心理学的なアプローチである。しかし、いかに操作を学んでも、問題はその結果をどのように読み取り、解釈したかである。他人が気付かない、その人なりの感度や感性が問われる。小手先の技術では解決できない人間的な発想であったり感度の違いであったりする。伝統芸能の世界に通じるものがある。

落語家は多くの噺を覚え(創り)、自分なりの話法で芸を磨く。歌舞伎役者は立ち居振る舞いから、伝統的な形式美を自分なりのものへと仕上げていく。言葉だけでは語り継ぐことのできない「芸」の世界である。同じ噺を聞いても、笑えるものと、ちっとも面白みを感じないもの。同じ場面でありながら、演者によって感銘を受けたり、さっぱりと何も感じない舞台。「芸」の違いであろう。
ビジネスのスタイルにも芸風の違いがある。同じマーケティング・テーマでも、共感出来るものもあれば、理解に苦しむ解釈に出逢う時もある。その差は、伝えるべき人の人間性から醸し出される芸の差である。決して表層的に身についた技ではなく、底流にある本人のこだわりを持つ職業人としての「業」であろう。

「技」先行型のマーケティング・スタッフよりも、個人的な「芸」を見せるスタッフとの出逢いには、何がしかの気付きがあるものだ。私は終生一マーケティング・スタッフとして、自らの「芸風」を追い求める姿勢を貫いていきたい。

Management Partner Staff
清野 裕司

 

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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