ビジネススタイルは、基本を繰り返す「凡事徹底」が育む。
「継続は力」とは昔から言われていることだが、現在のような変革の時代といわれる中にあって、改めてその重要さを実感している。旧弊を維持することを善しとはしないが、変えなくても済むことを、無理やりに変えて、変わることが正しいようなコメントを聞くと、果たしてそうか、と疑問文を投げかけたくなってしまう。
新しい機能が、これでもかと言っているかのような新機種ラッシュのスマホ。本来的な機能や操作に慣れる前に次。新しければ善しとする風潮も気になること。環境適応を言いながら、使い切る前に新商品のラッシュである。今までのものの何が不都合だったのかとも思ってしまう。それだけ、技術の進化スピードが速まってきていることの証でもあるのだろう。付帯する技術的な進化に合わせて、次々と付加される便宜性であれば納得も出来る。しかし、本来やるべきことをやっていないケースは、何ともやり切れぬ思いになる。
買い物に店を覗く。当然客を出迎える「いらっしゃいませ」の溌剌とした声が聞かれるものと想定する。しかし聞こえてこない場面がある。聞こえるのは店員同士の会話の声。欲しいものを探して、客によって勝手に動かされた商品。整然と並べておくことが全てとは言わないまでも、いつでも選択しやすい状況になっているのが店頭ではないかと思う。そうではない雑然とした商品。塵ひとつ落ちていない清潔な店を求めているのではないまでも、食事をする空間は清潔感が基本。ところが、何とも雑然たる空間になっているファミリーレストランやファストフードの店。客が店内不案内であれば、丁寧に導くのが大型店舗にいる担当者だと思うのだが、客と眼を合わすことを避けるような態度の百貨店のフロア-スタッフ。
基本とは何か。今の社会に問われているような気がする。当たり前と言われることには、特段の目新しさはない。まさに平凡なことの繰り返しである。しかし、その凡事を徹底してやり続けることが難しい。難しいが故に、実現されている場に出会った時の感動と心の安定の高さがあることも事実であることを忘れてはならないと、私は思っている。
Management Partner Staff
清野裕司