旬刊独白73

年度替わりの4月は「志」の季節でもある。

今年も新しい動きを実感する季節を迎えた。暖冬傾向の影響であろうか、冬でも縮こまるような姿勢は少ないものの、やはり身も心も弾むのは、3月の桜の開花の後に続く4月である。周りの景色の中に、それまでとは違った存在の人種が入り混じるのもこの季節。フレッシャーといわれる新社会人の姿である。

学生時代そのままの髪型でスーツを着込んでいるからか、何となく不似合いな雰囲気が残る。それも止む無しであろう。卒業謝恩会で見られる女子学生の着慣れない着物姿に似ている。これからは、今までの日常と異なる時の流れの中に身を置くことになる。当然、リズムも異なったものにならざるを得ないもの。姿かたちは、まだ板につかないものの、その心の中にあるものに大いに期待したいものである。

未来に向けて描いているであろう自分自身の姿。自らの心が、どちらの方向を向いているのかを確認して欲しいと思う。心が指す。まさに「こころざし=志」である。何となく茫洋とした意志かもしれない。「自分探し」という言葉も聞く。自分が何に向いているのか分からないので、固有の職を持つことなく、自分の可能性を探すとか。しかし、考えをいくら巡らせたところで、自分自身の実体が浮かんでくるとは思えない。先ずはやってみることではないか。

好きなことを一生続けられると幸せ、とも言われる。しかし、志は決して好きなことばかりを迎え入れてはくれない。嫌なこともある。意に沿わないこともある。ただ、嫌だと思ったことも、次なる自分を生み出す術と心得た時に、嫌なことではなくなるもの。自分の心と会話をしたかどうかが問われている。

「心こそ、心惑わす心なれ。心に心、心許すな」と昔から言われる。心が指し示す方向を持った若者に、この4月、何人出会うことがあるのか、心してその時を待ちたいと思っている。

Management Partnar Staff
清野 裕司

 

 

投稿者:

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一刻一歩に最善を尽くそうと今もする。変わる鋭さと変わらぬ頑固さがある。

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